4.21.2014

パーマカルチャー的「いけばな」

こんにちは。
アルバニーは4月の陽気に包まれ、ミツバチが忙しそうに蜜を集めています。
「ぶんぶん、ブンブン」とあの音を聞くだけで、とっても愛おしい気持ちになれる。
ミツバチのおかげで、わたしたちは豊富な食べ物を頂けてるんですね。どうもありがとう。

さて、今日は少し「いけばな」のお話をしたいと思います。
私は1年ほど前からサンフランシスコで草月流いけばなを習っています。
アメリカでも日本の「いけばな」はとっても人気があります。英語でIkebanaと言うと、多くの人が理解してくれるほど。西洋のフラワーアレンジメントとはまた違うスタイルで、いけばなは芸術性、そしてその哲学も多くの人に愛されています。
いけばなを始めたばかりのわたしですが、花を生ける時間というものは、植物、花器、そして自分自身と深く向き合える大切な時間なのです。

草月流いけばなの創始者である勅使河原蒼風先生の有名な言葉
「花は、いけたら、花でなくなるのだ、いけたら、花は、ひとになるのだ。」

わたしの大好きな言葉のひとつでもあります。
花はいける人の思いで変わっていく、自由に変化していくのです。だから、いける時には自分の思いを大切にしたい。
わたしが通ういけばなクラスでも、それを感じることがよくあります。
生徒たちが同じ花材、花器、そして同じスタイルで生けても、人によって悲しそうな作品になったり、まとまりのない作品になったり、ハッピー!という思いが伝わってきたり、そのときのみんなの精神状態が一目瞭然でわかってしまいます。ほんとうに驚きます。
わたしも、自分の作品を通して気づかされたこと、ほんとうにたくさんあります。
気持ちの焦り、意識下での思いなど、自分では気づいていないことが多いのです。
いけばなは自分の心の鏡なんです。

そんなことを一年間いけばなを通して学んできました。
しかし、最近すごく思うのです。花をいけるということは自分の思いだけじゃなく、どうやってその花が育ってきたのかも影響するんじゃないか、と。

育った環境が植物に影響することは、みなさんも日々の生活で感じていると思います。
たとえば、自分で愛を込めて育てたたべもの、信頼する農家さんから頂いたもの、愛を込めて作られた料理、それはとってもおいしい。食べているときに心が躍るよう。
それとは反対に、農薬を使い、大型機械を使って収穫された、誰が育てたのかさえわからないたべもの、誰が作ったのかもわからない冷凍食品。前者とは比べ物にならないほど、まずい。

わたしの住むエリアでは、幸運にも、オーガニック思考な人たちがたくさんいるおかげで、ファーマーズマーケットや近所のお店で信頼できる野菜を簡単に手に入れることができます。安心して買い物、料理ができる環境にあることはとても有難いことです。

しかし、とっても困っているのは、信頼して買い物できる花屋さんがないのです。
笑われるかもしれないけど、いわゆる「オーガニックフラワー」というものが必要なのです。
みなさんが花屋でよく目にするキレイに並ぶ花たちは、農薬がたくさん使われて育てられたものなのです。生花だけではなく、ガーデンに植えるための花の苗もそうです。
わたしも恥ずかしながら、そんなことは自分がお花を買うようになってから気づいたことです。
自分の口に入れるものではないから、そんなに意識していなかったというのが悲しい事実です。

日本ももちろんアメリカでも、花を育てるために使う農薬量の規定量はなく、いわゆる使い放題、というものです。考えただけでも恐ろしい。
キレイな花を飾り、楽しんでいても、知らない間に農薬が室内に漂っていることもあるそう。とくに化学物質化敏症やアトピーをもつ方には気をつけて欲しいです。

でも、わたしがここでほんとうに言いたいことは、生態系への悪影響です。
わたしたちよりもずっと、お花を必要としているかけがえのない生き物、それはミツバチです。
ミツバチは蜜を探しにやってきます。何度も何度も行ったりきたり、せっせとお花の蜜を集めています。そんな中、農薬がまかれている畑をブンブン飛んでいきます。
あんなに小さい身体で、高濃度の薬を受けるととどうなってしまうでしょうか。

ここ10年ほど、世界中でミツバチが大量に激減しているのをご存知ですか?
わたしの住むアメリカでもミツバチの大量死が問題になっています。もちろん日本でも。
これは、農薬の影響が深く関わっているといわれています。
養蜂がさかんなヨーロッパでは、去年「ネオ二コチノイド」と呼ばれる農薬の規制が始まりました。この農薬はミツバチに悪影響を与えることが研究でわかっています。わたしの住む隣町バークレーでもこの薬の使用を禁止、薬を使用して育てられた花や苗は売ってはいけない、という法律を認めてもらうために市民が今動いています。
農薬とミツバチの関係、まだまだ説明したいことがたくさんありますが、今日はキレイな花に隠された事実をみなさんに知ってもらいたかったのです。

わたしはお花を飾ることが大好きです。疲れて帰ってきた旦那さんや遊びに来てくれたお友達、みんながそれをみて、ホッとしてくれる。植物にはそんな癒しのパワーがあるのです。

わたしが飾る草花は、庭やコミュニティーガーデンからとってきたものだったり、身近にあるものです。ときには、ガーデナーとして働かせてもらっているクライアントのお庭から頂いたりもします。お花を自分で買うことはほとんどありません。
だけど、やっぱり特別なおもてなしをしたかったり、いけばなの練習をするときは、自分で手に入れることが難しい草木を買うこともあります。
そんなときは、どこで買うべきなのかを考えます。近所ではないけど、バークレーやオークランドにはオーガニックフラワーを扱うお店もあるようです。ファーマーズマーケットでも買えます。日本にもオーガニックフラワーを推進するお店がたくさんあるようです。

わたしは、近所のビジネスをサポートしたいので、これから近所の花屋さんにオーガニックフラワーを置いてもらうように働きかけていこうと思います。
オーガニック野菜のように消費者が求めていくと、売り手も変わっていくのです。少し高くても買ってもいい、ミツバチのため、わたしたちの未来のために、お金を使う。そうやって流れていく。
大好きな町アルバニーを、もっともっと地球みんなにやさしい町へとシフトしていきたい。
こんなものがあったらいいなぁ、という思いをかたちにし、みんなで町づくりをする。これもまたトランジションアルバニーのプロジェクトとなりそうです。


最後に、この作品はわたしが初めてフリースタイルでいけたものです。
自分で花材を選び、花器を選び、そして思うままに自由にいける。
いつもは先生の教えてくれるスタイルをいけていくのですが、このときは何でもあり!
というわけで、若菜スタイルでのびのびといけてみました。
良いか悪いかなんて関係なく、自分のままで。

もちろんこのときに使った草木は、クライアントのお庭から頂いたもの。剪定するときに余った枝や草などを集め、あたらしいいのちへとつなげる思いでいけました。
自然でのびのびと育つ草木は、とっても美しい。特別な花を買わなくても、農薬を使わなくても、植物は強く、美しく育つのです。この草木を使っていけると、ほんとうに気持ちいい。私の思いと植物の思いがひとつになれた、そんな貴重な時間でした。

かたちにとらわれず、身近にあるもので、自分らしく、
パーマカルチャー的「いけばな」みなさんもやってみませんか?


目で見えぬものを、いけよ。
目で見えぬものが、心の中にたくさんある。
 By 勅使河原蒼風













0 件のコメント:

コメントを投稿